年齢を言い訳にしない
自分の人生を楽しんで!
Taki Katoh
加藤 タキ
コーディネーター
1945年生まれ。オードリー・ヘプバーンなど海外スターの出演交渉を手掛ける。
国際NGO・認定NPO法人AAR Japan[難民を助ける会]
副会長。母・加藤シヅエ(政治家/社会活動家)の精神を語り継ぐことを使命の一つとしている。近著『さだまさしが聞きたかった、「人生の達人」
タキ姐のすべて』(講談社)
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2024年11月15日、グランクレール綱島の開業一周年記念講演会が開催。
講演後、チャレンジを続けるタキさんの原動力をうかがいました。
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何でもやってみて違うと思ったらやめればいい
私は79歳ですが、社交ダンスは67歳、シャンソンは75歳から習い始めました。皆さん驚くかもしれませんが、私自身、社交ダンスやシャンソンをやるなんて夢にも思っていませんでした。人生、何があるかわからないものですね。
実は60代の頃、今より体重が10キロほど多く、ジムに通っていました。トレーニングをして、少しは痩せましたが、あまり楽しくありませんでした。そんな時、友だちが社交ダンスを始め、どんどんスリムになり、いきいきとしていました。「いいな〜」と思い、私も社交ダンスを始めてみたら、これが楽しかった! 週1回のレッスンでは物足りず、週2回に増やした結果、半年で8キロ体重が減り、筋肉もつきました。誰かの真似をすることは恥ずかしいことではありません。少しでも興味を持ったら、やってみましょうよ。待っているだけでは、何も始まりません。「何かが違う」と思ったら、やめればいいのです。人のためではなく、自分のためにやるのですから。
「自分のため」と言うと、自己中心的に聞こえるかもしれませんが、ちょっと違います。自分が納得し、充実感を得ることが大事。生活が充実すると、心にゆとりが生まれ、自然と他者にも気配りができるようになります。幸せだと笑顔になり、人も寄ってきます。そんな生き方をしていると、同じように考える仲間が集まってくるのです。 -
人の目を気にする必要はない
自分の気持ちが大切洋服を買うとき、私はだいたい1人で行きます。友だちと一緒に行って「これ似合うわよ」と言われると、迷ってしまうでしょ。友だちや店員さんの意見に左右されず、自分が本当に着たい服を選びましょう。
子どもを出産した後、忙しくて白髪を染める暇もなく、アメリカ出張に行ったとき、エレベーターで一緒になった女性に髪の色を褒められました。「ベリーナイスメッシュ」と言われ、目からウロコが落ちた思いでした。日本では白髪混じりが嫌だと思っていたのに、視線を変えれば素敵に見える。周りの人がどう思うかなんて、あまり気にしなくてもいいんです。 -
できる、大丈夫、どうにかなる
ポジティブな"3つのD"私は「とてもポジティブだ」と思われているかもしれませんが、もちろん大変なことや失敗もありますよ。コーディネーターという仕事が珍しかった頃は注目されましたが、そのうちテレビ局や広告代理店が自分たちのネットワークで交渉をするようになり、私の仕事が減少した時もありました。
主人から「営業しているの?」「こんなことができるって売り込んでいる?」と聞かれたことがあり、私は「何もしていない、電話が鳴るのを待っているだけ...」と答えました。そりゃ依頼が増えるわけがないですよね。落ち込むところかもしれませんが、あまりそうは思いません。現状を冷静に見て、「それはそうだ」とプロセスの一部として捉えて、改善すれば良いのです。私は否定的な「だって、でも、どうせ」という3つのDは、使わないようにしています。年齢を言い訳にしたり、何かを避けたりするのは簡単。でも、それでは何も前に進みません。私のモットーは「できる、大丈夫、どうにかなる」という前向きな3つのD。ポジティブに受け入れることが大切です。
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"今"を生きた憧れの女性たち
彼女たちの生き様を伝える私の周りには、「こんな風に生きたい」と憧れる女性がいました。例えば、母・加藤シヅエは、明治時代に生まれ、社会活動家・政治家として激動の時代を生き抜き、104歳で天寿を全うしました。母は「100歳になってわかったことがたくさんある」と言っていましたが、過去にとらわれず、常に前を向いて「今」を生きていました。
また、CM出演のコーディネートをきっかけに親しく交流させていただいたオードリー・ヘプバーンさんも本当に素敵な女性でした。気取らず、驚くほど自然体で、「あなたはあなた、私は私」と、あるがままの自分を受け入れ、「今」の自分を大切にしていました。
彼女たちの真摯な生き方と勇気に触れ、私は多くを学び、目覚めました。様々な場面で母やオードリーさんのスピリットを一人でも多くの方に伝えることが、私の使命だと感じています。 -
「梅花、春に魁けて咲く」
「グランクレール綱島」を見学させていただきましたが、とても明るく開放感がありますね。駅直結で、ビル内にさまざまな店舗があり、お出かけすることで刺激を受け、コミュニティの中でどんどん笑顔になりそうです。誰にも会わず孤独になるのはもったいないことですが、どんなに仲が良くても、適度な距離感は必要。いわゆる「大人の距離感」を保つことができるのも、年齢を重ねたからこそかもしれませんね。
「生きがいはどうやって探すのですか?」と、いろいろな方が母に尋ねたことがあります。母は、「ご自分の心に手をあててごらんなさい」と答えていました。目を閉じて、自分の気持ちと向き合い、もっと自分を知ること。自分の生きがいが分かれば、老いることが怖くなくなります。
「梅花、春に魁けて咲く」という言葉は、私の父が母に贈ったものです。どんなに寒くても、梅の蕾は必ずほころび、春の訪れを告げてくれます。私たちも背筋を伸ばして凛として自分の人生を生きましょう!